ディープスポットに初めて足を踏み入れたのだが・・・

俺が学生の頃。

新世界はとてもディープなスポットだった。

10代や20代が気軽に近寄るようなところではなかった。

ところがここ10年ぐらいの間に昭和レトロの下町情緒あふれる街として売り出されていて、10代の男の子や女の子であふれているらしい。すえた臭いとおっちゃんの街という認識しかない俺にとっては10代の女の子に人気がでるなんて信じがたい。

新世界には老舗のハッテンバがいくつかある。

あるというのは知っていたが入店する勇気どころか、新世界に近づくことすら躊躇していた。

おっさんだらけの街にわざわざ出掛けなくてもキタにはいくつも入りやすいハッテンバがあったし。社会人になってから仕事でたまに日本橋や天王寺あたりを通ることがあって何となく新世界のハッテンバとニアミスすることが何回かあった。

「とりあえずどんなところか１回入ってみるか。ガマンできんかったらすぐ出てくればいいし」ぐらいの軽い気持ちで新世界の初ハッテンバ体験をしてしまうことになる。

入店したのはロイヤルだった。

日本橋から堺筋を南下。急に思い立ったのでうろ覚えの雑誌の広告の地図を頭に浮かべながらディープスポットに向かう。

動物園前から近づくと新世界のど真ん中を通ることになるが、日本橋から近づくといつの間にか新世界の中に入っているという感じ。

車は多いがあまり人通りはないし、最初は道を間違えたかと思ってしまった。うろ覚えの地図は所詮うろ覚えで、同じところを何回も行ったり来たり。休日の日中にスーツ姿でうろうろするのは極端に目立つところだ。

「もういいか」と思い始めたとき、突然目の前にロイヤルと書かれた小さい看板を見つける。建物はそこそこ立派だが捜し歩いてすぐ見つかるような目立った建物ではない。

吸い込まれるように入店。

自販機で入場券を買って入ると緑色のロッカーがずらりと並んでいるのが目に飛び込んだ。

休日の日中とあって客が多い。

そして覚悟していたとはいえ、その年齢層が………高い。

（つづく）

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