長崎の黒帯くん 6
完全に包囲された俺。
特に俺の真正面に座っている「完全なおじいさん」の存在が最も不気味だ
。暗くて表情が見えないだけに余計不気味さが増す。1センチでも動いたらすぐに逃げ出そうと暗闇を凝視し続けていた。
ところがここで不意打ちを食らう。
突然ひざに違和感を感じた。何だかスースーする。
足元をじっくり見ると、何と「おじいさん一歩手前」さんがいつの間にか布団から上半身だけを抜け出して俺のひざを触ろうとしているではないか。
顔ごと俺の脚に近づこうとさせていたから、正確に言うと「触る」のではなく「舐めよう」とするような態勢。
あまりの不意打ちに体が凍りつく。
それを見透かしたように真正面にいた「完全なおじいさん」が俺ににじりよってきた。
二方面同時進攻。
逃げようと腰を浮かせると「完全なおじいさん」が「ちょっとだけだから、ね、ちょっとだけだから」と話しかけてきた。
「何がちょっとだけ???」頭の中は大混乱。
「ちょっと」も「いっぱい」もぜひ遠慮したい。俺は三方向の囲みを破って1階に逃れた。
(つづく)
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特に俺の真正面に座っている「完全なおじいさん」の存在が最も不気味だ
。暗くて表情が見えないだけに余計不気味さが増す。1センチでも動いたらすぐに逃げ出そうと暗闇を凝視し続けていた。
ところがここで不意打ちを食らう。
突然ひざに違和感を感じた。何だかスースーする。
足元をじっくり見ると、何と「おじいさん一歩手前」さんがいつの間にか布団から上半身だけを抜け出して俺のひざを触ろうとしているではないか。
顔ごと俺の脚に近づこうとさせていたから、正確に言うと「触る」のではなく「舐めよう」とするような態勢。
あまりの不意打ちに体が凍りつく。
それを見透かしたように真正面にいた「完全なおじいさん」が俺ににじりよってきた。
二方面同時進攻。
逃げようと腰を浮かせると「完全なおじいさん」が「ちょっとだけだから、ね、ちょっとだけだから」と話しかけてきた。
「何がちょっとだけ???」頭の中は大混乱。
「ちょっと」も「いっぱい」もぜひ遠慮したい。俺は三方向の囲みを破って1階に逃れた。
(つづく)
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長崎の黒帯くん 7
まだ入店して20分ぐらい。
いくらなんでもこれで退店するのは金がもったいない。不健全な経済的感覚が働いてしまう。
二階と一階を程よく往復することで3人の方の反復攻撃を避ける。ギギーッという階段の音が合図だった。
「一体、俺は何をしているんだろう」それにしても3人のバイタリティーに感心する。どう考えても俺が避けていることは明白。それでもここまで攻撃を浴びせてくる皆さん。
「ここまで頑張ってるんやからほんの少しだけお相手しようか」なんて思ってしまう怖さ。閉鎖空間での反復行為は人間を単純化してしまう。
入店して1時間近くたっただろうか。
玄関付近で人の気配がした。新しい客が来たようだ。
「この客が4人目のおじいさんだったら店を出よう」とようやく決心する。
ロッカーで服を脱いでいる雰囲気が伝わってくる。
どんな奴やろ?
幸いにも他の3人は二階に上がったままで一階にはいない。
入ってきた子を見て驚いた。
俺より少し身長がある。20代後半~30歳ぐらいの短髪。目をキラキラさせて少し大きめの鼻がかわいい。
そして何よりもがっちりとした体格と厚い胸板がまぶしすぎる。
それまでの1時間が1時間だっただけに、
彼を見ただけで股間が大きくなってしまった。
(つづく)
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いくらなんでもこれで退店するのは金がもったいない。不健全な経済的感覚が働いてしまう。
二階と一階を程よく往復することで3人の方の反復攻撃を避ける。ギギーッという階段の音が合図だった。
「一体、俺は何をしているんだろう」それにしても3人のバイタリティーに感心する。どう考えても俺が避けていることは明白。それでもここまで攻撃を浴びせてくる皆さん。
「ここまで頑張ってるんやからほんの少しだけお相手しようか」なんて思ってしまう怖さ。閉鎖空間での反復行為は人間を単純化してしまう。
入店して1時間近くたっただろうか。
玄関付近で人の気配がした。新しい客が来たようだ。
「この客が4人目のおじいさんだったら店を出よう」とようやく決心する。
ロッカーで服を脱いでいる雰囲気が伝わってくる。
どんな奴やろ?
幸いにも他の3人は二階に上がったままで一階にはいない。
入ってきた子を見て驚いた。
俺より少し身長がある。20代後半~30歳ぐらいの短髪。目をキラキラさせて少し大きめの鼻がかわいい。
そして何よりもがっちりとした体格と厚い胸板がまぶしすぎる。
それまでの1時間が1時間だっただけに、
彼を見ただけで股間が大きくなってしまった。
(つづく)
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長崎の黒帯くん 8
まぶしすぎる彼の登場。
俺を一瞥するとそのままシャワーを浴びに行った。
それにしても現状を理解しているのだろうか。
俺より格段にかっこいい。間違いなく餌食になるはず。
シャワーの音を聞きながらいろいろと考えた。
「多分彼は現状を知ったら即行で店を出るだろう」
「いや地元の子なら現状はある程度知っているはず。俺ならいいのかも」
「いやいや、彼は極端なフケ専かもしれない。俺なんかよりもっともっともっと年上がいいのかも」
かっこかわいい顔と厚い胸板を思い出すともう股間はカチカチ。そのうちシャワーから出てきた彼は休憩室にやってきた。
俺の斜め前に座る。
そばにあった雑誌を手にとってページをめくり始めた。俺は露骨に彼を観察した。
体格がいいからといって厳つい感じではない。
優しい目元。
がっちりした腕。
視線がチラッと合った。微かに笑ってくれたような気がする。
いや気のせいか。そんなことを考えていたらあの音がした。
ギギーッ、ギギーッという階段の音。
いや今度は一人ではない。何人かかたまって聞こえてきた。
彼はどんな反応を見せるのだろうか。固唾をのんで見守ることになる。
(つづく)
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俺を一瞥するとそのままシャワーを浴びに行った。
それにしても現状を理解しているのだろうか。
俺より格段にかっこいい。間違いなく餌食になるはず。
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「多分彼は現状を知ったら即行で店を出るだろう」
「いや地元の子なら現状はある程度知っているはず。俺ならいいのかも」
「いやいや、彼は極端なフケ専かもしれない。俺なんかよりもっともっともっと年上がいいのかも」
かっこかわいい顔と厚い胸板を思い出すともう股間はカチカチ。そのうちシャワーから出てきた彼は休憩室にやってきた。
俺の斜め前に座る。
そばにあった雑誌を手にとってページをめくり始めた。俺は露骨に彼を観察した。
体格がいいからといって厳つい感じではない。
優しい目元。
がっちりした腕。
視線がチラッと合った。微かに笑ってくれたような気がする。
いや気のせいか。そんなことを考えていたらあの音がした。
ギギーッ、ギギーッという階段の音。
いや今度は一人ではない。何人かかたまって聞こえてきた。
彼はどんな反応を見せるのだろうか。固唾をのんで見守ることになる。
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長崎の黒帯くん 9
3人が次々と休憩室に入ってきた。
それでなくても狭い部屋なのに5人も座るのは無理。
彼は少し驚いたような表情を浮かべ、「完全なおじいさん」が横にべったりと座ろうとするとすり抜けるように立ち上がってそのままロッカー室に行ってしまった。
俺だって密着は勘弁してほしい。とりあえず彼の後を追うようにロッカー室へ脱出した。
彼は「参ったな」という感じでロッカー室で苦笑いしていた。
「ずっといたんですか?」彼が聞いてきた。
俺は「1時間ほど前から。逃げ回ってたけどね」と答えた。
「じゃあ、この5人しかいないんですね」と言うので「そうそう」と答えてあげる。
何となく連帯感を感じた。
「それにしてもいい体格してるね。何かやってるの?」と聞いてみる。
「今は何もしてないですけど、子どものとき柔道してました」と言う。初段はとったらしい。
「黒帯なんや、胸板厚いしかっこええやん」と感心すると「いや初段は昔のことだから…。今は何もしてませんよ」とちょっと照れた。
俺が大阪から出張で来たと言うと、彼は地元の人間だけど最近都会から戻ってきたばかりだという。
ひとしきり柔道の話で盛り上がった後、休憩室をのぞきにいくとまだ3人は座っていた。
すると黒帯くんが言う。
「ここ出ませんか?」
(つづく)
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それでなくても狭い部屋なのに5人も座るのは無理。
彼は少し驚いたような表情を浮かべ、「完全なおじいさん」が横にべったりと座ろうとするとすり抜けるように立ち上がってそのままロッカー室に行ってしまった。
俺だって密着は勘弁してほしい。とりあえず彼の後を追うようにロッカー室へ脱出した。
彼は「参ったな」という感じでロッカー室で苦笑いしていた。
「ずっといたんですか?」彼が聞いてきた。
俺は「1時間ほど前から。逃げ回ってたけどね」と答えた。
「じゃあ、この5人しかいないんですね」と言うので「そうそう」と答えてあげる。
何となく連帯感を感じた。
「それにしてもいい体格してるね。何かやってるの?」と聞いてみる。
「今は何もしてないですけど、子どものとき柔道してました」と言う。初段はとったらしい。
「黒帯なんや、胸板厚いしかっこええやん」と感心すると「いや初段は昔のことだから…。今は何もしてませんよ」とちょっと照れた。
俺が大阪から出張で来たと言うと、彼は地元の人間だけど最近都会から戻ってきたばかりだという。
ひとしきり柔道の話で盛り上がった後、休憩室をのぞきにいくとまだ3人は座っていた。
すると黒帯くんが言う。
「ここ出ませんか?」
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長崎の黒帯くん 10
「ここ出ませんか?」と言う黒帯くん。もしかしてそれは俺を誘ってるの???
まあ、ここはいらんこと言って話を壊しても良くない。「出よう出よう」と同意して、さっさと着替えると2人で前後して店を出た。
黒帯くんが「僕、男同士で入れるラブホ知ってますから、どうですか?」といきなり聞いてきた。
「それとも何か食べに行きますか? 先に食べます? 後で食べます?」ととても積極的。
「俺なんかでホンマにええの?」と聞いてみる。
「嫌なら一緒に出ましょうとか、ラブホどうですかなんて誘いませんよ」と言う。
何だか夢のような流れだ。
しかしもしかすると突然怖~~いお兄さんが何人か出てくるかもしれない。念のため交差点ごとに逃げる方向を秘かに確かめた。
逃げ道を確かめながらではあるが、すぐ隣を歩く黒帯くんをチラ見する。
茶色のパーカーがとてもよく似合っている。笑うと目がキラキラと光った。
20分ほど歩くとラブホに到着。
念のために黒帯くんから半歩後ろを歩いてそれとなく周囲を確かめた。怖いお兄さんはいそうにない。
「ホントに俺でええの?」と再度確かめる。
「いやだったら一緒にこんなところ来ないですよ」
(つづく)
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まあ、ここはいらんこと言って話を壊しても良くない。「出よう出よう」と同意して、さっさと着替えると2人で前後して店を出た。
黒帯くんが「僕、男同士で入れるラブホ知ってますから、どうですか?」といきなり聞いてきた。
「それとも何か食べに行きますか? 先に食べます? 後で食べます?」ととても積極的。
「俺なんかでホンマにええの?」と聞いてみる。
「嫌なら一緒に出ましょうとか、ラブホどうですかなんて誘いませんよ」と言う。
何だか夢のような流れだ。
しかしもしかすると突然怖~~いお兄さんが何人か出てくるかもしれない。念のため交差点ごとに逃げる方向を秘かに確かめた。
逃げ道を確かめながらではあるが、すぐ隣を歩く黒帯くんをチラ見する。
茶色のパーカーがとてもよく似合っている。笑うと目がキラキラと光った。
20分ほど歩くとラブホに到着。
念のために黒帯くんから半歩後ろを歩いてそれとなく周囲を確かめた。怖いお兄さんはいそうにない。
「ホントに俺でええの?」と再度確かめる。
「いやだったら一緒にこんなところ来ないですよ」
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